Story Arc ヴァージロック病原体   (The Vahzilok Plague)
しかしその彼女の焦りが、ヒーローをピンチに陥れることになった。彼女がunyielding Stanceのフィールドを展開するのが一瞬遅れたのをPatient zero は見逃さなかった。

Eidolonの放った攻撃によって彼女の全身を包んでいたフォースフィールドが輝きを失っていく。ダークパワーの攻撃によって全トグ ルパワーが解除されたのだ。呆然自失となった彼女に更なる攻撃が襲いかかり、一瞬意識を失った彼女にフォースフィールドを再展開する余裕はもはやなかった。周囲のゾンビの集中攻撃を受けガクっと床に膝を落とした彼女の周りには、先程から蠅の群れが忙しなく飛び回っていた。

「私も、このままゾンビになっちゃうのかな・・・」目の前が真っ暗になり、徐々に意識が遠ざかってゆくCutie Lala。
しかしそのとき、何者かの機械的なメッセージが彼女の薄らいでいく意識の底を流れた。
「Hero IDカクニン・・・Seculity Level20 Cutie Lala. 生命反応ノ異常低下ヲカクニン。緊急事態テレポートシステム作動・・・転送ヲ開始シマス・・・・・・・・・・・・・・ 」

そして暗転・・・・・。

今までヴァージロックの死者蘇生の方法は全く分かっていなかった。
Banished Panteonの様な呪術によるものでものなければ、5th ColumnやLostのような特殊な薬物によるミュータントとも思われなかった。しかしもしこの病原菌が彼らの死者蘇生と関係があるとしたらどうだろう。

ヴァージロックはかねてから、ダムへの毒物の混入(TF10-16)や、水道局を占拠してゾンビ化に対する抵抗力を弱める特殊な毒物を流す陰謀(StoryArc The Vahzilok Pollutions)などを企み、ヒーローの活躍によって阻止されてきた。
もし彼らの陰謀が市民の大量虐殺を狙ったものではなく、実は市民のゾンビ化を狙ったものだとしたら?
そしてその媒介が彼らの病原菌であり、度重なる彼らの 毒物の混入は病原菌への抵抗力を弱める目的であったとしたら?
・・・ そう、ヴァージロックのゾンビの正体はバイオハザードによるものだったのだ。

そして彼らはこのゾンビウイルスの改良を重ね、より感染力の強いウイルスの製造に成功した。
これが今回の新型伝染病の正体だったのではないだろうか?
もし彼らのウイルスの苗床の全てを焼き尽くしたなら、もはや新たなゾンビを作り出すことは不可能になる。伝染病だけでなく彼らの市民ゾンビ化の野望も、そしてヴァージロック軍団自体もその終焉を迎えることになるだろう。

そしてこのことは、今回のミッションが彼らとの最後の戦いになることを意味していたのだった。

そして、長い下水道での戦いの結末は不意に訪れた。ヒーローに向けて標準を合わせようと振り上げた博士の右手のマシンガンが不意に止まり、次の瞬間このゾンビの創造者はその巨躯を大きく揺るがせ、下水の海に巨大な水柱をたてて崩れ落ちたのだった。


崩れ落ちてゆくドクター・ヴァージロックにLalaはつぶやいた。
「・・・ドクター・ヴァージロック、あなたがしたことは、死を克服することじゃなくて、ただ人を永遠の命の牢獄に繋ごうとしただけだと思うよ。大事なのは自分の意志で『生きる』ってことで、決して誰かに無理矢理『生かされる』ということじゃない・・・」
そんな彼女の傍らをヴァージロックの遺骸がゆっくりと下水の海に沈んでいく・・・。

かくてヒーロー達の活躍によって大首領ドクター・ヴァージロックは倒され、そのゾンビ軍団は完全に壊滅した。そして彼の死と共にその陰謀も、そして生と死を超越しようとした彼の狂気さえも、今、永遠にその終わりを告げたのだった。
コンタクトのオリビア

合衆国の中心にして世界最大の都市Paragon City。
そして人種の坩堝とも言うべきこのメガロポリスには多くの人種、民族の人々が暮らし、共存している。
その中には中国や台湾、日本などのアジア諸国から夢を求めてこの街に移り住んだ人々も多い。

こうしたParagon Cityに住むアジア人の心の拠り所であり、コミュニティの情報誌として高い支持を受けているのが、The Asian Paragonという週刊誌だ。
その編集長であるオリビア・チュン(Olivia chung)も台湾に生まれ育ち、10年ほど前にこの世界最大の都市に移り住んだ一人なのだ。

オリビアがヒーローとのコンタクトの一人になったのは、あるThe Asian Paragonの記事がきっかけだった。
このささいな記事をきっかけに彼女はヴァージロックのゾンビ軍団に命を狙われる羽目になり、その危機をヒーローに 救われたことから、彼女はジャーナリストとしての情報収集力を生かしてヒーローの活躍のために協力するようなったのだ。

女ゾンビの悲劇
下水でのゾンビとの戦い

それは緊急の依頼だった。

「Cutie Lala!ヴァージロックの事を調べていたら大変なことがわかったわ!」
今にも胸ぐらでもつかみそうな勢いでオリビアがLalaに詰め寄った。
「いったいどうしたっていうの、オリビアさん」
「奴等が新型の伝染病ウイルスを開発し、それを街中にばら撒こうとしているという情報 が入ったの。既に奴らのアジトの位置はつかんであるわ。
お願い。奴らが病原菌を撒き散らす前に、この計画を阻止しなくては!』

はたして彼女の情報は正確そのものだった。ヒーローが乗り込んだヴァージロックのアジトには、散布用の病原菌を蓄えてあると思われる巨大なボンベがおかれていたのだ。ヴァージロックはこれまで度々有毒物質を使っての市民の大量殺戮を企ててきた。恐らく今回の病原菌の散布も彼らの大量殺戮計画の一環なのだろう。

ボンベを破壊し、病原菌の散布を間一髪で食止めたヒーローだったが、その直後直ぐに再び出動を余儀なくされることになった。だが彼女がオリビアから受けた依頼は一見奇異なものだったのだ。

「今入った連絡によると、カーバー(Cover)と言われるヴァージロックのゾンビがTome of Teros(目的のための本)」という魔法書を奪って、イエロー・ローズ化粧品のオフィスに立てこもっているらしいの。オフィスにはまだ大勢の社員が残っているらしいわ」

確かに悪党が民間企業を襲って人質をとるのはParagon Cityでは日常茶飯事だったし、彼女もそういった場面に何度も遭遇してきた。又魔法書にはさまざまなパワーを生む古代の儀式が記されており、その中には 悪用されれば恐ろしい結果を生む強力な魔法儀式もあるのだ。しかしそれでも彼女は軽い違和感を感じずにはいられなかった。

「Circle of Thornならともかく、なんでヴァージロックが魔法書を?しかも研究所や化学工場じゃなくて、よりによって化粧品会社のオフィスなんかに立て篭もったのかしら・・・・?」

女ゾンビの悲劇

ゾンビの群れを次々と蹴散らし、オフィスに残っていた社員達を解放したヒーローの視界にぼろぼろになった魔法書を抱えて、懸命に何かの儀式を行おうとして いたボス級のゾンビEidolonの姿が目に入った。
あれがカーバーに違いない!
そして、魔法書を取り返そうとカーバーに挑みかかるLala!

「私は儀式を行うわ!Cutie Lala邪魔をしないで!(i will perform my ritual! Cutie Lala must not interfere!)」ゾンビ特有の発声ながら確かに女性と思われる声。
「えっ・・・」一瞬動きがとまるヒーロー
「・・・女の子なの!?、このゾンビ・・・」

釈然としない面持ちで魔法書を取り返したヒーローに、しばらく彼女の話を聞いていたオリビアが少し考えたあと、話しかけた。

「恐らくあなたの推測は正しいわ。Cutie Lala。
実はね、私の調査ではEidronの脳はゾンビになっても機能していて、そして人間だった頃の記憶もちゃんと残っているらしいの。彼女・・・その女性ゾンビも人間だった頃の美しい記憶に苛まれていたに違いないわ」
「女性の記憶・・・化粧品・・・もしかして・・・彼女の行おうとしていた儀式って!」
「ええ、きっと醜いゾンビにさせられてしまった彼女は取り戻そうとしていたのだと思うわ。女として・・・自身の美しさを・・・魔法の儀式に一縷の望みをかけてね」
「そんな!」
「本当に悲しい話だよね。いったい誰が、日常を奪われて空ろなゾンビにさせられた彼女の替わりになれるっていうのかしら。」


 ヒーロー危機一髪!

「見て!平和なこの街を!Paragon cityはこの静けさが守られることを望んでいるわ。」
再びコンタクトを訪れたLalaにオリビアが感傷的に語り始めた。
「でもね、この2,3日で不思議な伝染病が次々と発症しているの知ってる?実は私はこの謎の疫病があのヴァージロックの新型ウイルスに違いないという証拠 を手に入れたの。彼らの野望を食い止めなくては、この街はこの疫病によってゴーストタウンになってしまうかも知れないわ。」

彼女が食い止めたはずの新型伝染病ウイルスはその全てではなかったのだ!ヴァージロックの伝染病の感染源を封じ、これ以上の拡大を食い止めなければ、オリビアが言うとおりParagon Cityはゴーストタウンになってしまうかもしれない。。
しかし彼女とてこの感染に対して手を拱いていた訳ではなかった。彼女はヴァージロック自身が病原菌のキャリアだと予測し、この新型病原菌を検査する特殊なスキャナーを開発してLalaに調査を依頼したのだった
アジト強襲

そして・・・オリビアの推測は正しかった。ヒーローが倒したゾンビの何体かが、この新型伝染病の病原菌をもっていたのだ。
つまりヴァージロックのゾンビ自体がこの病原菌の感染源であり、彼らを通じて少しずつこの新型伝染病が広がっていたのだ!

「あなたが持ち帰ったデーターを元にトレースしたところ、病原菌のキャリアである敵の居場所は判明したわ。
聞いて、なんとそれは最も非衛生的な場所である下水道だったの。
彼らを殲滅して、体組織と血のサンプルをとってきて欲しいの。それさえあれば病原菌を分離してこの伝染病のワクチンを開発することが出来るわ」

早速オリビアの依頼を受けて、Lalaは彼女が発見したヴァージロックのアジトに向かった。
そして、アジトの入口の近くでは子供達が缶蹴りをして遊んでいた。もし、この恐るべき病原菌のワクチンを作ることが出来なければ、この新しい伝染病は燎原の火の如くParagon Cityをなめ尽くすことだろう。


アジトの奥深く・・・「例によってどこにでも出没するヒーローのご登場か!(These witless hero fo eample!)
だが、もはや誰も干渉できはせん。おまえにはそれがわからないのか?(No one can be allowed to interefare,do you understand?)」

このアジトのボスSurgeonの傲慢な声が薄暗い下水道に響き渡る。
しかしヴァージロックの自信もそこまでだった。
行く手を遮るゾンビをなぎ払い、彼を倒したヒーローは、遂にゾンビの血のサンプルを手に入れることに成功したのだった。これでワクチンの開発は時間の問題のはずだ!

病原菌に冒されたヒーロー

急ぎコンタクトの元へ向かうLalaだったが、道先で奇妙な事に気が付いた。
彼女の周りを蠅の群れが飛び交っているのだ。しかも何度追い払っても決して離れようとはしなかった・・・そう、まるで彼女が倒してきた、あのゾンビ共に群がっている蠅のように・・。

ヒーローの姿をみたオリビアは真っ青な顔をして、一呼吸してからゆっくりと彼女に話しかけた。
「ああ、なんてことCutie Lala こんなこと言うのはとても心苦しいのだけど・・・あなたの体は・・・既にあの伝染病に侵されているわ。」

「えっ・・・それって一体?!」
「でもお願い、パニックにはならないで!私が見たところまだ初期症状だわ。
ワクチンさえあれば全治するはずよ。早くこの血のサンプルをセント・ジョン・スミス教授(St. Jhon-Smyth)にもっていって!彼は今ワクチン開発の最終段階に入っているわ」

さすがのヒーローも動揺を隠すことは出来なかった。彼女自身あまりに多くのキャリアのゾンビ達と戦いすぎたのだ。
いくらヒーローの肉体といえどもこれだけ多くの伝染病キャリアとの接触には耐えられなかったのだった。

動揺のしつつも教授の下へ向かおうとするヒーローに、オリビアが再び声をかけた。
「ちょっと待って!もし途中で頭がクラクラすると思ったら、決して寝てはダメ。もし寝たらあなたは・・・いえ、なんでもないわ。幸運を祈ってるわ Cutie Lala」

一縷の望みを託してLalaはワクチンを開発しているというジョン・スミス教授の下へ向った。
しかし不運にも今度はヴァージロックが先手をとっていた。教授の研究所はヴァージロックの攻撃の最中にあったのだ!
襲われている研究者達を助けつつ、研究所を進む彼女だったが、その足取りはいつになく重かった。病魔は彼女の体を徐々に蝕んでおり、いつものようなゾンビをなぎ倒すという訳にはいかなかったのだ。

まもなく1人の研究者がゾンビに襲われている姿が目に入った。襲っているのはボスクラスのゾンビEidolon、Patient zero(患者ゼロ号)!
その名前からして間違いなくヴァージロックの大幹部に違いない!
そしてもしかしたらこの病原菌の謎を握っているかも知れないのだ。

倒されたLala

ゾンビ軍団の秘密

意識を取り戻したとき、彼女は病院の治療カプセルの中にいた。

間一髪のところで彼女を救ったのは、Paragon Cityが誇る非常事態テレポーテーションシステムだった。
このシステムは市内を取り囲むエネルギーフィールド(戦争隔壁)と同様Riktiから得た技術 を元に作られたもので、IDを登録されたヒーローがヴィランとの戦闘で危機に陥ると、その生命反応の低下を計測して自動的に病院へのテレポートをおこなうものなのだ。

実際Rikti戦争で多くのヒーローを失ったParagon Cityが多くの悪の組織を前にある種の秩序を保っていられるのはこのシステムによるところが大きいといえるだろう。
しかし当然悪の組織もその対応策を練りつつあり、最近ではテレポートをインターセプトされ逆に敵の牢獄に転送されてしまったというケースも報告されてはいる。

いずれにせよLalaがかろうじて九死に一生を得たのは事実だった。

医療カプセルで命拾い
リベンジ!今度は勝利
再度の対戦でPatient zeroを破ったヒーローはようやく教授の研究所を開放し、研究者達を救出することに成功した。
そして教授の手によって完成したワクチンの投与を受けたLalaはこのおぞましい伝染病の恐怖から解き放たれたのだった。

しかし、にもかかわらず事態は更に悪化していた。実は彼女が到着した時点でワクチンの半分はヴァージロックの手によって持ち去られていたのだ。

「やっかいなことになったわ。恐らく奴らは奪ったワクチンを使ってこのワクチンの耐性菌を開発するに違いない。もし彼らがこの薬に抵抗のあるウイルスを開発したらこの病気の流行を停めることはできなくなってしまう・・・。」

しばらく考え込んでいたオリビアは、急に顔をあげ何かを決断したかのような面持ちでヒーローに話しかけた。
「今までのデーターを解析すると、私たちが生き残る鍵、それは、すべての始まりの地点にあるに違いないわ!つまり彼らの本拠地、下水道に下りて奴らの病原菌の苗床の全てを焼き尽くす・・・これですべてが終わらせられる・・・。」
無事ワクチンをゲット
対決! 大首領 ドクター・ヴァージロック!!
ヴァージロックの本拠地へ踏み込め

かくて、薄暗い下水道でヒーローとヴァージロックのゾンビ軍団との最後の戦いが始まった。
さすがに本拠地だけあって、数多くのゾンビがアジトの守備についていたが、もはや回復した彼女の敵ではなかった。ヒーローは襲いかかるゾンビを次々倒しながら病原菌の苗床を探すべく奥へと進んでいったのだった。

しかし一向に病原菌の培養槽らしきものは見あたらず、あるのはゾンビのボディの一部と思われる肉塊だけだった。

「もしかして、ゾンビのボディ自体が病原菌の苗床になっているのかも」
果たして彼女の感は正しかった。まさしく彼らの肉片自体がこの恐るべき病原菌の培養槽の役割を果たしていたのだった。
それに気づいたヒーローは次々とこのウイルスの元凶を焼き払っていった。



「我が親衛隊のものども準備せよ 敵はすぐにここに来るぞ(prepare yourself, my loyal minions. I can sense our foe will be here soon)」
その時、下水道の暗闇に低く太い声が響いた。

その声の先にはボディに人間の顔をつけた巨大な化け物と化した彼らの創造者にして大首領、ドクター・ヴァージロック (Dr.Vahazilok)その人が立ちはだかっていたのだった。

対決!大幹部ドクターヴァージロック
下水道の奥深くに対峙するヒーローとアーチヴィラン、ドクター・ヴァージロック。
かつては高名な外科医であったドクターは、命に関わる疫病をこの世から根絶するという高邁な目標を抱いていたという。
だが終わりを知れぬ疫病との戦いの中で、彼は偶然死を超越した世界・・・それが生とはいえな いゾンビであったとしても・・・を知ってしまったのだ。
そして、その偶然が、彼の命を守るという崇高な目的意識をやがて死を超越するという狂気へと導いていったのだった。
Taskforce Complete!
今はこんな感じ

おまけ リニューアル後のヴァージロック部屋

ドクターヴァージロックの本拠地は本文のSSはただの下水道ですが、Issue3くらいから、専用マップが用意されるようになりました。ぐっとそれらしい雰囲気ですね。

ヴァージロック博士によって生ける屍となったゾンビ達には実はまだ人間だった頃の記憶があった。
そしてその記憶はすでに自身の意思を奪われ博士の操り人形となったゾンビ達の内心を、死後もずっと苦しめていたのだ。


「そんなことって・・・・絶対許せない・・・・ヴァージロック!!」

Lalaはふと考えた。すべての始まり・・・つまり、ヴァージロックの病原菌。
この病原菌はゾンビの血から検出され、彼らは何かの目的でこの病原菌を町中 にばらまこうとした。そして彼女がこの伝染病を患った時の蠅のたかったヴァージロックのゾンビに似た症状が発症した。そう、もしかしたら・・・。



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